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hort story
- ドアの向こう
- どーしても下の階の騒音に我慢できない元自衛官の男。
借金取り立てに来て『いるのはわかってますよ』と若干大きめの声を出す男。
一度契約したらしつこく勧誘に来る新聞屋。
必ず決まった時刻にテレビに向かって悪態をつくじいさん。
どうやら児童虐待らしき声が聞こえる三階の住人。
介護に疲れ果てテーブルで眠るおばあさん。
隣の家の物干し竿の色が気に食わない奥さん。
深夜の仕事から帰って来た夫の物音を聞いて浮気相手を無理矢理追い出す妻。
これが最後だから許してくれ、とせがむ息子。
帰ってこない妹。
イヤホンしながら食べる夕食。
何から何までそれらはドアの向こうで起きる。
俺は怪しい猫が住む隣人のドアを掴み、そして離した。

- written by kim -
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