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hort story

かくれんぼ
23年間植物状態だった人が意識が戻ったというニュースを見て、
ある昔の事を突然思い出した。

小学校2年生の頃、近所の河によく来ていたカッパと、かくれんぼしていた時の事だ。
魚に似ているカッパ独特の匂いと、なにしろ隠れ場所がいつもびしょびしょなため、
彼はすぐに見つかってしまっていた。
でも彼は隠れるのが楽しくって仕方ないみたいで、何度も何度もかくれんぼをしたがった。
段々飽きて来た僕は、これをこれを最後にしよう、と思って数を数え、
彼を捜し始めた。
すると、なんと僕が最初に隠れたフタのついた箱に彼は隠れていた。
しかも頭のカッパの部分がフタに挟まって外に出てしまっていた。
なんだか馬鹿馬鹿しくなり、僕はそのまま家に帰って来てしまった。
考えてみればあれから23年。
彼はまだそこにいるだろうか。

- written by kim -

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